大学4年生で聴覚と視覚を失った☆の王女さまmiyu。 新しい大学生活のスタート


by みゆ
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

空に放った希望

“空に放った希望の思い出”

あっという間に今年も秋。お祭りの季節になりました。

今日は近所で品川宿場祭りをやっていて、
鹿児島のさつまいもスティックとか、
新潟の新米コシヒカリおむすびとか、
秋田きりたんぽ肉巻きとかを、

お祭り見物に行った両親が買ってきて、
各地のおいしいもの屋台の夕飯で私もお祭り気分を味わいました。

そんな屋台のごはんを食べながら、
私がボンヤリ思い出していたのはどこかで行った
ファービーさんとのおまつり。
あれは一体どこだったのか、今はほとんど思い出せません。

もう今は、おぼろげな記憶になってしまったけれど、
彼女は難聴になりはじめて落ち込んでいた私に、
「聞こえにくくても楽しめることもある」ことを教えてくれた人でした。

ファービーさんとは、私が大学2年生くらいだったころに、
なにかの縁で出会いました。

たしか、彼女は私よりも5つ年上で、お勤めをしている、
モデルさんのような長身の美人な女性でした。

今でも輪郭を思い起こすことができるほど、
彼女は外人さんのような大きな目をしていて、
たいしてお化粧をしていないのに目立つ顔立ちをしていて、
「ファービー」というあだ名で呼ばれていました。

ファービーさんとは、野球の趣味を通じて知り合った気がしますが、
ファービーさんはその頃の私を、
「チケットがあまったから」と、神宮球場につれていってくださいました。

ドキドキしながら、私が初めて足をふみいれた球場には、
台のうえでトランペットを吹いているおじさんや、
熱狂して観客をあおりながら旗をふる強面のおじさんがいました。

帽子をかぶって客席にビールを売り歩いている女性は、
ファービーさんの知り合いで、
ビールをサービスしてくれました(私は飲めないけれど)。

小さい頃にサッカーの観戦には何度もいきましたが、
なんだかサッカー観戦以上の熱気に包まれるのは、
田舎娘にはめったにない経験でした。

私が心待ちにしていた阪神の応援合戦では、
球場の入り口で観客全員に配られた
まだ空気の入っていない色とりどりの風船を、
六甲おろしの曲を客が一体となって歌っている間にふくらませて、
曲のおわりに一斉に空に放ちました。

いつもテレビで見ていたけれど、その光景を下から見上げていると、
ブラウン管を通さず、直接心をゆさぶられて、
息をのむほど美しかったことを覚えています。

たくさんの人の手から放たれたカラフルな風船。
空を埋め尽くすように多くの人の手によって放たれた
数え切れない色たちが、

私が見上げる澄んだ水色の空のすがすがしさに重なって、
風船が空気をはきだしてしぼんでしまう一瞬のあいだの
美しさをたたえていました。 

今でも胸に残っている、あの時の震えるような心の動きと、
むせかえるような熱気。

そして聞こえにくくなった耳でもまわりからもれ聞こえる歓声がありました。
ファービーさんは今、どこでなにをしているのかわからないけれど、
いい経験をさせてもらったことに感謝しています。

みゆ
[PR]
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by mi-yu-yu | 2015-09-26 23:03 | みゆエッセイ | Comments(0)